【ブログ】2019年は日本型トランスメディア・ストーリーテリング台頭の年に - 中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編
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中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編
立命館大学映像学部 中村彰憲教授による、その見識と取材などを元に、海外ゲーム情報を中心としたブログ連載!
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中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編
中村彰憲
立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。
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【ブログ】2019年は日本型トランスメディア・ストーリーテリング台頭の年に
【ブログ】2019年は日本型トランスメディア・ストーリーテリング台頭の年に
2019-02-08 22:00:00
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▲台北からタクシーで40分程のところにある九〓
台湾映画『悲情城市』のロケ地で有名だが多くの観光客はこの独特な世界観(ユニバース)を求めて集まる
 例年、年初に筆者はその年における日本のゲーム・シーンについて「占って」きた。昨年は諸般の事情で遅れての発信となったが、ゲーム・アズ・ア・サービス台頭の時代とした。たしかに筆者がその記事を執筆したときは、既に一般社団法人日本eスポーツ連合が発足後のことだ。だから、筆者が執筆時にそのような動向を全く意識せずに書いたかと言えばウソになる。だが、驚くべきはそれ以降の動きだ。国内各地の自治体がeスポーツ団体の設立や大規模eスポーツイベントの誘致に動き、これまでゲームについて全く追求してこなかったマスコミ関係者がゲームやeスポーツについて勉強しはじめたのだ。さらに年末には国内で優勝賞金100万ドルの「Shadowverse World Grand Prix 2018」が開催されるなど「興行」としてのeスポーツはまさにこの年に立ち上がったと言えよう。
「ナラティブ・エクスペリエンス」を中心としたゲームIPが潮流に
▲TMSはメディアミックスの一類型と言うことも出来る
 2019年の潮流は、「ナラティブ・エクスペリエンス」を中心としたゲーム体験、とりわけ日本型トランスメディア・ストーリーテリング(英語 Transmedia Storytelling、略称TMS、以下、TMS)の台頭を目の当たりにするのではというのが筆者の「占う」2019年像だ。
 この種の知的財産(英語Intellectual Property、以下、IP)の展開に関し、日本でこれまでよく言われていたのはメディアミックスだろう。最近はメディアミックスをクロスメディアと言い換えて、そのしくみについて解説がなされてきた。実際、米国でこの用語をアカデミック界隈ならびに映像業界に啓蒙したヘンリー・ジェンキンズ教授やハリウッドにおけるTMSの伝道師、ジェフ・ゴメスは日本におけるメディアミックスに触発されてこの展開方法について広げていったという事実がある。そのひとつの到達点が今年4月の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で大きな区切りをつけると言われている「マーベル・シネマティック・ユニバース」、同じく4月に最終章の配信がはじまる「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ、ならびに12月に同じく大きな区切りのある「スター・ウォーズ・ユニバース」などだ。
 これらと「ポケットモンスター」シリーズや「妖怪ウォッチ」シリーズ、「名探偵コナン」シリーズなどとの違いは、メディアミックスにおいては、作品のキャラクターや世界観などは概ね共有するものの、それぞれの物語展開、キャラクター設定や人間関係における矛盾も許容するモデルなのに対し、TMSはジェンキンズらにより「複数のメディア・プラットフォームを横断して物語を設計し製作する技法」と整理された。
 ロンドンに拠点をおいた、TMSアナリストのロバート・プラットンは、ひとつひとつの作品をパズルのピースに例えた。つまり、視聴者は、それぞれのメディアで展開される物語を統合することで、作り手が示そうとする世界と、そこで展開される物語の全貌を解釈していく。つまり、物語体験の優劣は、語り手が「何を」、「如何に」語るかだけでなく、それらが「如何に」受容者によって「解釈」されるかにより決定されるのだ。
テレビドラマも、ゲームも、コミュニケーションコンテンツもTMSに挑戦中
「半分、青い。」、「Fate」シリーズ、NTTドコモ「星プロ」……。一見、全く関係が無いように見えるこれらのコンテンツは日本で許されるプロジェクト規模で、TMSを実践しているコンテンツ群だ。これらの作品の存在は少なくとも日本では、ハリウッドのように巨額を投じなくともTMSを実践出来ることを意味している。実際、日本におけるメディアミックスの歴史の中で、TMS型の展開をおこなってきた作品の代表作が1979年にはじまった「宇宙世紀ガンダムシリーズ」であることを考えると、日本においてもTMS型コンテンツは長年にわたって受け入れられてきたのだ。
 ただ従来はこれらをその他の人気コンテンツとあわせて、すべてメディアミックス(近年はクロスメディア)として一緒くたにされてきたため、どのような手法のTMSが日本において最適なのかが明確でなく皆、手探りでやってきたというのが実情だろう。そのような状況をしり目に、概念的な整理を進めたハリウッドにおいてはここ数年、TMS型コンテンツが米国興行収益トップ10作品の内の7割程度を占めるようになっている。
 ただ、その事実を既に熟知している企画戦略室のコンテンツ系企業や広告系企業のひとたちも多いと想定される。そうなってくると必然的に日本発で世界に広がるTMSが台頭するのは時間の問題だと思われる。そしてその中心にゲームが鎮座するのが2019年なのだ! さて、そのIPが旧知のものなのか、完全新規IPなのか……。2020年のこの時期までには明らかになっていることだろう。
筆者のトランスメディア・ストーリーテリングに関するエッセイ
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に見る多メディア化時代のトランスメディア・ストーリーテリング
https://www.famitsu.com/guc/blog/108583/13065.html2016年は「ゲーム新時代の到来」
https://www.famitsu.com/guc/blog/108583/13069.html
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』に見る徹底的に作り込まれた世界観の意義
https://www.famitsu.com/guc/blog/108583/13075.html
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